effect 今日日本深度透視 今日日本深度透視今日日本深度透視 effect
  • HOME
  • 日本で活躍する中国人
日本で活躍する中国人
数奇な書画人生 世乱偏知書味永 楼高先覚雨声来
日中を繋ぐ書画家・周之江氏

photo01 今回ご紹介する書画家、周之江氏は自身の傑作『祥瑞図』に、3年の歳月を注ぎこんだ。この作品は1.68メートルの高さ、3.72メートルの幅があり、日中絵画の伝統手法が溶け合っている。描かれているのは大波が逆巻く中、島にいる鶴たちが遠くから飛んでくる1羽の鶴を迎えている様子だ。慈しみ深く穏やかだが壮大な勢いを感じさせる。この屏風画『祥瑞図』は、日本奈良県の唐招提寺に所蔵されている。

唐招提寺は西暦759年に鑑真和尚により日本の奈良県に建立され、日本において崇高な地位を有している。日本で最も古く格式高い寺院の一つである。近代日本において名高い大画家、東山魁夷は当時唐招提寺に奉納した御影堂障壁画を、生涯かけて追い求めた境地とみなしていたという。

2008年に胡錦濤主席が訪日した際、奈良の唐招提寺を訪れることになった。唐招提寺の松浦俊海長老は中国国家主席の訪問を歓迎し、本寺に中国人画家の描いた記念画を1枚所蔵することを希望した。日本の奈良に腰を落ち着けた唐代の由緒正しい寺とはいえ鑑真大師像以外に中国の文化や芸術を伝える物が確かに足りなかったのだ。そして松浦長老は、日本の書画界でもすでに大変有名になっていた周之江氏と出会った。

photo02

photo03

当初『祥瑞図』が発表された時には日本の書画界や収集家たちから非常に注目され、多くの日本の寺院や企業が、大枚をはたいてこの絵を買いたいと次々に申し出てきた。しかし、周氏はいずれの申し出に対してもやんわりと断った。それを不思議に思った新聞記者に、この絵は胡錦濤主席が奈良を訪問する前夜に、鑑真和尚が海を越えて日本に建立した唐招提寺に寄贈し、胡錦濤主席の日本訪問を偉大な歴史の1ページとして記念するつもりなのだと明かしたのだった。

2008年5月10日、中国国家主席胡錦濤氏が奈良市の唐招提寺を訪れた。寺では主席を歓迎するのと同時に、この屏風作品のために「胡錦濤主席訪日歓迎及び書画寄贈記念式典」が厳かに行われた。屏風画『祥瑞図』は、現在もこの寺に保存されている。

唐招提寺は日本国宝級の歴史文化遺産建築であるが、これまでは日本の最も偉大な画家、故東山魁夷の作品を収蔵しているのみで、中国現代画家の作品としては『祥瑞図』が初めての作品となった。中国国家主席胡錦濤氏が唐招提寺を訪れた際に、松浦俊海長老の紹介により周之江氏と胡錦濤氏との対面が実現した。

周氏の作品は数多く、どれも勢いがある。その中の巨大な書道作品『一葦可航』は行書で書かれた扁額で、中国駐大阪総領事館に所蔵されている。『一葦可航』は、葦のような弱いものでも束ねれば小舟ができ川を渡れるようになるという意味だ。領事官はさらに『一葦可航』の由来を、各方面からの来客に日本語で説明しているという。日中両国は一衣帯水、まさに『一葦可航』の隣国だ。

photo04 周之江氏は1950年、上海で生まれた。9歳で中国書画を習い始め、書画篆刻名家の胡問遂、唐云、銭君匋に師事した。16歳で顔体を学び始め、周氏の作品は中国の書道伝統と日本大和民族の書道が美しく融合し独立した一派となった。彼はこれまでに日本で個展を12回催し、日本国内に3000人の弟子を抱えている。日本という異郷に居住する芸術家として中国の書画芸術を日本へ伝え、日中芸術交流に偉大な貢献を行った。

photo05 1987年に周之江氏は日本へ渡り、大阪教育大学に入学して美術を専攻した。1992年には大阪で、日中書画篆刻協会を立ち上げた。周之江書画ファンの熱狂ぶりは現代の歌手を追いかけるファンと似て、これは日中書画文化交流史上ありえなかったことだ。周之江氏の書画は文化的素養や芸術性に溢れ、存分に作品の魅力と影響力を感じさせてくれる。

(文/衷茗、翻訳/牛久保奏江)